2011年6月22日
皆が主人公。こころとこころをつなぐ出版社。(後編)
前編はこちら
< http://archive.mag2.com/0001115543/index.html?start=20 >
山内尚子さん。
新日本文芸協会・(株)きれい・ねっと代表。
最愛のご主人にの死をきっかけに、その赤裸々な思いをつづった
山内さんの詩が、人々の共感を呼んでいき、
朗読会、ワークショップ他のイベントへと繋がっていきました。
「ごめんなさい、ありがとう、愛しています」
この3つの言葉のワークが始まりました。
そうこうするうちに、他者の出版を手伝っていた山内さん自身も
本を出したら?という周囲のすすめもあって
そのワークを元にした書籍、「やさしい魔法・ホ・オポノポノ」を
出版する運びになりました。
のちに、ネイティブハワイアンの伝統的な問題解決法、
「ホ・オポノポノ」を世界に知らしめた ヒューレン博士のエピソードが
あちこちで取り上げられ、著名になっていくのですが。
時期的には 山内さんの書籍の方が、実は先に出版されていたのだそうです。
(ヒューレン博士:ハワイ州立病院で精神病の患者たちの病院で働き始めるも、
ホ・オポノポノの「ごめんなさい、許してください、愛しています、ありがとう」の
4つの言葉をとなえることにより、入院患者が激減したという実話。)
「実際に、ヒューレン博士にお会いすることもできましたし。
『私なりのホ・オポノポノ』ということで、位置づけています^^」
そう、尚子さんご自身が、「一番、表現したいもの」だったんですよね。
「うちの会社のコンセプトはね、『みんなが主人公』ということなんです。
有名、無名の垣根をなくして、お互いを認め合うということ。
出版、というのは、自分を表現することによって、魂がその方向へと
向かう時に本を出すというアクションになる。受け取る人は、その魂を受け取る。
私は、それを手伝うという役割だと思っています。
それぞれの魂には、本来向かうべき道がある。
最初から100点満点とか、人の上下もない。
そして 本当に素晴らしい先生って、すべてを受け止めて下さっている。
私は、ご縁を頂いた先生方に、こんな思いを「素晴らしい」と言って
受け止めていただいたおかげで、こうして出版のお手伝いができています。
そうやっているうちに、いろんな方が、うちから本を出したい、と言って
下さるようになってきました。
何が来ても、来たままにやろう、と思いました。
その方が出したい本を、そのままに出したい。
売れるものを作る、というのが本来の目的ではありません。
でも、ちゃんとご飯が食べられるくらい、本は全部、売れています。
ある著名な先生から、書籍は3000部 売らないと、
出版社はつぶれるよと 言われました。
だけど、うちは300部から作ります。でも、
300部売れなかったという方は実はほとんど、いません。
300部というのは、紙代と印刷代を最低、確保する
ために必要な部数なんですけど、結局、ほとんど増刷になりますし。
うちは、全部、企画出版です。世の中の自費出版というシステムとは
違うんです。
本の著者には、300冊×8掛けで買い取ってもらいます。
でもね、本気で伝えたいことがあるのなら、
最低300冊くらいは人の手に渡るはずです。
それができないくらいなら、最初から出版なんて、やめるべきですし。
うちは、小冊子でも300冊、1年でなくなりますね。
そして絶版というのはありません。ずっと作り続けます。
うちと一緒にイベントをやって300冊完売して、
利益が2割、残るようになります。
36万円で、200ページの本が一冊、作れます。」
・・・(@o@) びっくり!
それって・・・かなり、激安だと、思いますけど(!)
私も何度か、自費出版という形で経験していますが・・・。
最低で100万円とか、巷では200万円300万円、
ざらにかかりますよね?!
(そして、ある作家の方から、自費出版というのは、
キャリア的に、恥になるものだと言われました・苦笑)
「もう一つ、うちの特徴としてはね、著作権を主張しない出版社なんです。
もちろん、文章や絵については著者のCマーク(著作権)になります。
でも、出版物そのものについては、出版社が持っています。
ですから、今の出版会の常識では、何かの本を出したら、それを
他の出版社から出してはいけない、というシステムになっています。
でも、私は表現者の方が、著者さんが望まれるなら、大手の出版社さんから
同じ原稿で出版してもらってもいいと考えています。
小さい出版社の弱みは、そこですから。
大きな流通にはどうしても乗せられないので。」
・・・でも、それって、かなり寛大で、いわゆる常識外、のことなんでしょう?
「はい。業界ではびっくりされます。権利は手放す、主張はしない。
だけど、「権利」を振りかざして、表現の邪魔をするのは違うと思っているので。
今までの出版の考え方でお越しになると、話がまったく かみ合わなくて、
悲しい思いをすることも多々あります(苦笑)」
・・・えー!今度、本をもしも出すなら、私も山内さんのところから出したいです!
「有り難いことに、そう言っていただけることが増えまして・・・(^^;)
なので、ご相談に来られたら、どなたでも・・・主婦でも、サラリーマンの方でも、
どんな方の本でも、ウェルカムです、うちは(^o^)/
こんな調子ですから、著者さんともめたこともありません。
契約書もいいかげんです(笑)
そして アマゾンで1位、というところも、目指しませんし。
誰にでも同じように・・・名刺代わりの小冊子でもいいんです。
10万円くらいで作れますよ。うちのネットショップで販売もします。
こんな出版社を私は選んだのよ、って著者さんが自慢して下さるんです。
それに最近は、かつて本を出していた方、大手から出版を断られた方も
お声をかけて下さいます。」
うーむ・・・なるほど・・・。
「もっと計算しなさい、とか、将来の夢は?とか、規模を大きくしないの?とか
言われるんですけど・・・。
いわゆるビジネスとか計算は、とっても苦手な経営者です(^^;)
だって、必要ならば、自然とそうなるでしょう?
規模やステイタスに、重きを置いてはいませんし、できないんです(苦笑)
たとえば、本を出したい、と相談を受けます。
その方と、打ち合わせや、面談を重ねていくうちに、結論として、
『今は、本は出さないほうがいいね』ということになることも、あるんです。
えぇ、ビジネス的にはそれは損失、というのでしょうね、時間と労力の。
でも、私はそうは思わない。その方にとって『今は出さない』という結論に
達することが必要だった、その答えを得ることが大事なんです。
たとえ本という、形にならなかったとしても。
でも、いいんですよ、今までそれで、ちゃんとご飯を食べられていますから。」
・・・まさに、近未来的・宇宙的経営。
「はい、よく そう言われます(笑)
その哲学を、JCさんなどで 話してくれって、講演依頼が来たりします(^^)」
そりゃ、そうでしょう。完全に宇宙にゆだねた人の発言です、それは・・・。
「紙やインクを無駄にしない、本を捨てない、とい思想でこれまでやってきました。
実際に、震災の直後は、出版業界では、紙の奪い合いだったんです。
特に、大量生産、大量廃棄の業態のところは、大変だったようです。
だけど奇跡的に、うちの会社では半年先まで、紙を押さえていました。
・・・あれは神業、ならぬ紙わざだったと思いますけど。
震災直後に新刊を発売する予定でしたが、奇跡的に、何の支障もなく
発行できましたし・・・。これも、ほんとうにおかげ様だと思っています。」
いわゆる、出版不況と言われる昨今ですが、山内さんのところは
いかがですか?
「それがですね、おかげ様で大きなお話なども頂くようになりまして、
もう一人では回らなくなってきました。
フリーの編集者の方、募集します!
大丈夫だと思います、私がやってる程度のことをやっていただけるなら^^」
・・・では、本当にお忙しいんですねぇ。
「いえ、今はですね、5年生になる息子のPTA活動に全精力を傾けています!
マーチングバンドをやっているんですけど、彼らは、朝練で大変なわけですよ。
しかも1円の報酬もないというのに(笑)
だけどお金を払って見に行く、プロの音楽よりも、感動して涙が出るんです。
感動ってお金で買うものではないと、彼らの姿を見ていて、思うんです。
今、ミュージシャンってご飯を食べていくのが難しいらしいですよね。
CDが以前よりも 格段に売れなくなっていて・・・。
小学生のあの子たちが一生懸命、練習して演奏している姿を見ていると
エネルギーが光り輝いていて、涙が出ます。
これが本などになったとしたら、素晴らしいものが生まれると思うんですよ。
そういう彼らの姿を見ていると、私自身も、ただ存在するだけでいい。
本当にそう思えるなら、それでいいんじゃないですか。」
・・・書籍にしても、音楽にしても「お金」が中心ではなく・・・
本質を見つめていれば、必ず、必要な収入は得られる。
山内さんのお話をうかがっていると、これからの時代の経営とは何か、を
つくづく感じるのです。
だけど実は、相当の「覚悟」ができていないと、無理な話なんですよね。
「今はどなたとお会いしていても、嬉しいし、楽しいんです。
皆さんと一緒に にこにこと 過ごしていたいんですよね。」
1児の母とは思えぬ、童女のような笑顔の社長さんでありました・・・^^
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